20170202
ちょっといろいろ煮詰まったので、映画を観に伏見のミリオン座へ。「この世界の片隅に」
戦中戦後の呉と広島が舞台のこうの史代さんの漫画が原作。
主人公のすずさんが存在そのもので体現する「ふつう」さが、そしてそのありふれた、ごはんを作って食べて、洗濯して着物を縫って、眠るという「ふつう」の生活がひとつひとつ失われてゆく状況だけが時系列順に静かに描かれる。
戦争の悲惨さは何も声高に描写されないが、観ている側にはありふれた普通の生活のすべてを奪う戦争というものが、いかに悲惨なものなのか、ということがはっきり伝わる。
でもね。最後の最後にこの映画から観ている人に手渡されるのは、どんな世界にあってもその片隅で、おいしいごはんを作って、好きな人と一緒に食べて、それでも生きてゆくことを選ぶという「希望」だと思いました、あたしは。
穏やかで力強い、いい映画でした。
これからご覧になる方へ。エンドロールが出ても席を立たないで、クレジットの最後まで絶対見てくださいね。