20181107

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「宮廷のレストラン」という映画を見てきました。

原題はLa quete d'Alain Ducasse なので「アラン・デュカスの探求」こっちの方が映画の内容を正しく表しています。つまりこの映画は、ヴェルサイユ宮殿にレストランをオープンするまでのアラン・デュカスの2年間に密着したドキュメンタリーであって、単にヴェルサイユ宮殿のレストランのオープンまでのドキュメンタリーではないから。

フレンチのシェフ(今は実際に料理をしていないから、高級レストランの経営者でもあるけど)として有名な人ではあるけど、見ていて「ああ、すごくよくわかる…!」と思ったのが、素材に向かうシンプルな好奇心。

とにかく知らない味、想像のつかない味、未知の新しい味、組み合わせ、色彩や香り、温度や光、食にまつわるすべてのものに飽くなき好奇心で向かっていく。そして素晴らしいものに対しての惜しみない賛辞と祝福。(なんてまっとうな)

実際、この2年間のドキュメンタリーの中でも、彼がフランスに居たのは半分もないと思う。複数のプロジェクトをこなしながら、次から次へと国から国へ、妥協のない食材を求め動き続ける日々を淡々と切り取ってあったから。多分彼が動かないのは、飛行機の中で眠る時だけ。そんな風に思えるくらい。

それはもちろん自分の店の経営のためだったり、食の後継者を育てるためだったり、いろんな理由があるんだと思うけど、でもその最大の理由は「知りたい」という一言に尽きると思う。知りたい、そして世界の素晴らしさを体感したい、という。

そこが、あまりにもぶれてないので、この人って信頼できるな、と思わせる。

 

「失敗しても迷ってやらないよりいい。ただし完璧を目指すこと」

「経験や知識を独占しないこと」

「小さなディテールを積み重ねることだけ(が完璧につながる)」

「技術があれば自分を表現できる」

彼の言葉は、深く同意できることがたくさんあった。(言葉そのものは違っているかもしれないけど意味はあっていると思う)こういう人が料理に関わり続けているということが、見てよかったと思った理由。

「アラン・デュカス 宮廷のレストラン」予告編 - YouTube

あとあまり知られていないことかもしれないけど、ストリートチルドレンに教育を受けられるようフィリピンで奨学金を出したり学校を作ったり、リオのオリンピックの時、選手村で余った食材を使って、彼のレストランのシェフ達を指揮して料理を作り、街の人達(多分経済的にはかなり下層の人たち)に振る舞ったり、という活動もしているそう。